会長挨拶
日本チタン学会会長 新家 光雄
日本チタン学会初代会長を務めることになりましたことは大変光栄であります。一方、初代会長とのことで、日本チタン学会を揺るぎない学術団体とする基盤を構築することへの重責を担うことになる緊張下にある次第です。
日本チタン学会は、日本チタン協会産学連携委員会が2013年から毎年1回主催してきた「チタン若手研究者・技術者交流会」(後に「チタン研究者・技術者研究交流会」と名称変更)を発展的に解消した上に発足しています。「チタン若手研究者・技術者交流会」は、日本チタン協会産学連携委員会により立ち上げられており、同委員会の発足があってこそ成り立っています。さらに元をたどると、日本チタン協会産学連携委員会の発足は、2007年6月に京都で開催された(公社)日本金属学会が主催した第11回チタン世界会議(The 11th World Conference on Titanium, JIMIC5)を抜きにしては語ることはできません。第11回チタン世界会議は、大変盛況の内に閉幕したことから、相当額の余剰金が発生しました。そこで、これを「チタン研究・国際交流助成」の為の寄付金として、チタンに特化して運営している(一社)日本チタン協会にお願いしたところ快く引き受けて下さり、チタン技術者・研究者の交流推進や若手研究者の育成を目的として、産・学で同数の委員からなる産学連携委員会(委員長は産側から選出)が発足することになりました。
こうした中、「チタン若手研究者・技術者交流会」は、産学連携委員会にて議論の上、産学連携委員会発足の5年後(2013年11月)に第一回交流会がスタートしました。その後2021年11月の第八回交流会まで継続開催されてきました。その実績を踏まえ、他学協会講演会でのチタンに関する講演発表セッションが分散する状況等も鑑み、我が国のチタン関連の技術者および研究者が一同に会して議論・交流・情報交換できる場を設定することの必要性が強く認識され、数年の議論を重ねた後、2021年4月20日に日本チタン学会の設立に至りました。
日本チタン学会では、設置年度(2021年度)に大阪大学に暫定的に事務局を設置し、2回のweb教育講演会「チタンの基礎・応用に関する教育講座」および第1回講演大会を日本チタン協会との共同主催にて開催しました。2022年度からは、事務局を(一社)日本チタン協会内へ移設すること等も含め、協会との連携の元で、運営体制および活動をより充実させるよう努力して参ります。すなわち、年1回の講演大会および2回程度のweb教育講演会は元より、① ホームページの充実、② 日本チタン学会の周知、③ 学会組織の充実、④ 一般および企業会員等の募集・増強、⑤ 産学連携活動の一層の強化、⑥ 学会誌および研究論文誌の発刊、⑦ 他学協会との協力・連携、⑧ 海外への情報発信等を地道に進めて参りたく思います。今後の活動を推進する上では、コロナ感染症終息後、すなわちポストコロナでの方策も重要な位置づけとなります。これら事項の達成に向け、企業、大学、研究所、官のチタン関連の技術者、研究者、さらにはチタンを利用する一般の皆様の日本チタン学会へのご参加とご支援・ご鞭撻を切にお願い申し上げます。